名古屋地方裁判所 昭和60年(わ)1438号 判決 1985年10月16日
本店所在地
名古屋市南区道全町三丁目四六番地
平子精工株式会社
(右代表者代表取締役 平子薫)
本籍
岐阜県瑞浪市稲津町萩原一五一五番地の一
住居
名古屋市南区道全町三丁目四六番地
会社役員
平子薫
昭和一三年三月一五日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺治朗出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。
主文
被告人平子精工株式会社を罰金一六〇〇万円に、被告人平子薫を懲役一年に処する。
被告人平子薫に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人平子精工株式会社(以下「被告人会社」という)は、名古屋市南区道全町三丁目四六番地に本店を置き、ダイヤモンドカツター基板の製造及び販売を業とするもの、被告人平子薫は被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統轄するものであるが、被告人平子薫は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、材料仕入、賃金及び外注加工費を架空計上するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和五七年二月二二日から同年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が三三二六万三七円で、これに対する法人税額が一三四〇万九一〇〇円であるのに、同年一〇月二九日、名古屋市熱田区花表町七番一七号所在の熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九〇六万一一九七円で、これに対する法人税額が三二四万五七〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一〇一六万三四〇〇円を免れ、
第二 昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億一五三〇万八四八八円で、これに対する法人税額が四七三七万二一〇〇円であるのに、昭和五八年一〇月三一日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四〇二九万一五九七円で、これに対する法人税額が一五八七万一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額三一五〇万二〇〇〇円を免れ、
第三 昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億二九九三万四二一四円で、これに対する法人税額が五五一七万九八〇〇円であるのに、昭和五九年一〇月三一日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五一〇九万三八七六円で、これに対する法人税額が二一〇四万五五〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額三四一三万四三〇〇円を免れ、
もって、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告人平子薫の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書並びに大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の証明書二通(青色申告承認取消通知書写等及び領収済通知書写に関するもの)及び各臨検てん末書及び差押てん末書
一 加納直之(二通)、鈴木常夫、佐藤巌一、石田寿真子、水野正英、横渡とわ子、磯村昭子、林利治、山本暲、島崎頼子、森中佳三、木場昭三、中島和満、平子ひで子(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の各査察官調査書
一 高木末松作成の普通預金印鑑紙、普通預金出入記入表及び手形裏書人調査の各写一綴
一 河村武彦作成の普通預金元帳及び普通預金入金伝票等の各写一綴並びに振込票等の写一綴
一 藤田勝久ほか一名作成の照会メモ及び普通預金出入記入表等の写一綴並びに支払済手形の写一綴
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五七年二月二二日至同年八月三一日)及び証明書三通(昭和五七年一〇月二九日付法人税申告書写、昭和五八年一二月一七日付法人税修正申告書写及び昭和六〇年五月二八日付(昭和五七年二月二二日から同年八月三一日の事業年度分)法人税修正申告書写に関するもの)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五七年九月一日至昭和五八年八月三一日)及び証明書三通(昭和五八年一〇月三一日付法人税申告書写、同年一二月一七日付法人税修正申告書写及び昭和六〇年一月二八日付(昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日の事業年度分)法人税修正申告書写に関するもの)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五八年九月一日至昭和五九年八月三一日)及び証明書二通(昭和五九年一〇月三一日付法人税申告書写及び昭和六〇年五月二八日付(昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日の事業年度分)法人税修正申告書写に関するもの)
(法令の適用)
一 判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人平子薫については所定刑中懲役刑を選択する。
一 併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項(被告人会社につき)、四七条、一〇条(被告人平子薫につき、なお、最も重い判示第三の罪の刑に加重)
一 刑執行猶予(被告人平子薫につき) 同法二五条一項
以上の理由により、主文のとおり判決する。
(裁判官 土川孝二)